SABFA magazine

ヘアメイクアップアーティスト

2024.11.25

#30 美容師にとって、SABFAへの投資を超えるリターンはない ~「CORSO」オーナー&スタイリスト 島田祐介~

【島田 裕介】
富山県出身。富山県高岡市にある美容室「CORSO」のオーナー&スタイリスト。理美容専門学校時代から上京し、東京の美容室で修行を積む。2006年にCORSOをオープン。SABFAでの学びを活かし、ヘアだけでなくメイクやファッションのトータルビューティーを重視。シンプルで再現性の高いスタイルを提供し、多くの顧客から信頼を集めている。ニューヨークコレクションへの参加経験やヘアコンテスト入賞歴など、豊富な実績を持つ。

毎年のようにSABFAのコレクション研修に参加し、海外のコレクションのバックステージで活躍している島田祐介さん。富山県高岡市で美容室「CORSO」を営むオーナーであり、現役のスタイリストでもあります。なんと「CORSO」のスタイリストの多くが、SABFAの卒業生。サロンが費用を負担して通わせているのだそうです。なぜ島田さんはコレクションに参加しているのか、そしてなぜスタッフをSABFAに通わせているのか、その裏側にある想いを伺いました。

ポンペイ遺跡の伝説に興味を持ち考古学を志す

僕は祖父の代からの理美容一家のサラブレッドです。でも理美容の世界にさほど興味がなく、文庫本で読んだ火山灰に埋もれたポンペイの話や、早稲田大学の吉村作治先生の活動に感銘を受け、考古学の道に進みたいと思っていました。ところが学力不足で考古学の道を諦めることに……。その当時、付き合っていた彼女が美容師を目指すと知って、同じ道を選ぶという不純な動機で美容の道を選んだんですよ。

高校卒業後に上京し、中央理美容専門学校に入学しました。美容室で働きながら学校に通っていたので、早朝から夜遅くまで勉強と仕事があり、遊ぶ時間は皆無と言っていいくらい。友人と過ごすことも稀で、仕事が中心の生活でした。卒業後もサロンに住み込みで同期や先輩で共同生活をしながら働いて、早朝から深夜まで仕事や家事に追われていました。大勢の同期が辞めて、自分もそれに続くかもしれないと思っていた時期もあります。それでも、有名サロンのオーナーが参加する特別な講習会に同行したり、全国的に著名な美容イベントでのデモンストレーションを間近で見学したりなど、厳しい下積み生活の中で、未来への希望を感じる瞬間もありました。

オーナーの器以上のサロンをつくれない

下積みを終えてスタイリストになったタイミングで、地元の富山に戻りました。たまたま知り合いの美容師さんがサロンのオープニングメンバーを募集していたので、そこに合流して働くことにしたんです。そこで経験を積み、29歳で独立し「CORSO」を立ち上げました。

独立から5、6年したとき経営は安定していたのですが、「サロンはオーナーである自分自身の器以上にはならない」と感じ、何か新しいチャレンジが必要だと思いました。 昔からファッションが好きでコレクションにも憧れていたので、まず思い浮かんだのがファッションのコレクションに関わるきっかけをつくること。SABFAに通うことにしたのは、コレクションに携わるチャンスをつかむためでした。週1回のコースに通いメイクを学び、資生堂の美の神髄に触れました。さらに上のコースがあると知り、2年後にクリエイターコースに入学。月曜日から金曜日まで都内で暮らしながら学ぶことにしたんです。サロンはスタッフに任せて、土日だけ富山に帰る生活を1年続けました。そんなに店をあけて大丈夫かと思われるかもしれませんが、任せている間にみんなが成長してくれました。「もしかして、店にいないほうがいい?」と思ったくらいです(笑)。

しつこいくらいにSABFAのコレクション研修に参加する理由

SABFAには東京やパリのコレクションに参加する研修があります。SABFAの卒業生なら権利があるので、全てのチャンスに手を挙げてきました。コロナ禍の前は毎回参加していました。「しつこい」と思われていたかもしれないですね(笑)。

初回の研修では念願のコレクションに参加できることを喜んだ反面、どうしていいかわからない部分も多かったです。クリエイターコースで指導アーティストの技術力を目の当たりにしていたので、自分が同じレベルでお手伝いできるわけがないと思っていました。そんな状態で、ニューヨークコレクションに参加させてもらい、神経をつかいすぎたせいか3カ月で5キロやせていましたね。

それでも何度か経験すると、少しずつできることも増えてきて、任される範囲が広がってきます。大事なのは、意気込みです。僕はとにかく苦手なことから逃げないことだけを決めていました。また来年から海外コレクション研修に参加します。まわりのメンバーより年齢的にも上なので、逃げずに頑張らなきゃいけないですね。

スタッフのためにSABFAの入学金をサロンが負担

僕はSABFAでやる気がある人に囲まれて勉強する楽しさとやりがいを感じました。地元に同じだけの情熱を持っている人、同じ物差しで話せる人がいるかというと、ほとんどいませんでした。同じ物差し、言語、熱量で話せるスタッフを育成しようと思い、スタッフがSABFAで学ぶことを全面的にバックアップすることに。入学金はサロンが負担しています。

サロンの育成プログラムに、SABFAが含まれているんですよ。25から27歳くらいの間に行かせてあげたいと考えています。

SABFAを卒業してから、「ゴールデンバランスが…」とか「クールを表現するんだったら服装は…」という具合に共通言語で話ができます。同じ言葉、同じイメージを共有しながらコミュニケーションをとれるから、サロン全体の技術レベルも上がります。そして、スタイリストがSABFAを卒業していることによってメニュー単価を上げることができる。SABFAに通うために1日休んだとしても、売上100万円も変わらないですから、費用対効果は高いです。スタッフが成長するだけではなく、広告宣伝効果もあると考えています。

地元の美容専門学校も、CORSOに入ればSABFAに行けることを知っているから、志の高い子たちにウチを紹介してもらえるんですよね。そういう意味で、リクルーティングの効果も絶大。今では「SABFAでメイクを学びたいからこのサロンに来ました」という子もいます。

座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

資生堂のアーティストのみなさんってめちゃくちゃ低姿勢なんですよ。特にSABFAの校長でもある計良さんは、びっくりするくらいです。きっと心に余裕があるから、謙虚で親切であり続けられるのかなと。自分もそういう人になりたいです。

もし今、SABFAに入るか迷っている人がいるのなら、とりあえず入ることをオススメします。絶対に大きなリターンを得られる自己投資になるはずです。高級ブランドの服や車を買うより、SABFAに入ったほうが絶対にいい。ちなみに、クリエイターコースで学んでいたときは、SABFAの授業料やメイク道具、課題のために揃えたものなどでかなりお金も使いました。それでも、投資に見合うリターンがあることをまさに今実感しています。


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