SABFA magazine

技術

2022.12.27

♯16 SABFA卒のクリエイティブチーム「SAD1」の誕生物語

表現力と感性を養い、自らディレクションできるアーティストを目指す「ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP COURSE」。その1期生5人が、クリエイティブチームを結成し、創作活動を展開しています。チーム名の「SAD1」はSABFA ART&DIRECTION1期生が由来です。それぞれ違う場所で活躍していた5人がどうしてSABFAに集まり、卒業後も協働しているのか。その理由を語ってもらいました。

■ 土居一生(ドイ イッセイ):ヘアサロンASTA AVEDA 武蔵村山 Shop Manager。NHDK日本デザイン協会ニューヘアモード創作設定委員。SABFA ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP1期生。
■ 佐藤敦俊(サトウ アツトシ):atelier haruka CREATION 所属。雑誌、舞台、テレビなどでヘアメイクとして活躍。SABFA原宿 ART&DIRECTION 1期生。
■ 西村紘(ニシムラ ヒロム):ヘアサロンTAYA 丸の内 トップデザイナー。Be-STAFF 卒業。美容研究 新井会 幹部講師。SABFA ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP1期生。
■ 増田祐太(マスダ ユウタ):La Virtue(完全会員制美容室) 代表。Hair Make SHISEIDO SABFA 64期生、SABFA ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP1期生。
■大林敬幸(オオバヤシ タカユキ):ASCH檀渓通店 スタイリスト・メイク。trend blast 【urban zen】部門優勝。JHA 2022 new comer ノミネート。ABEX Red Stage 出場。SABFA ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP1期生。
※トップ画像右から、佐藤敦俊、西村紘、大林敬幸、増田祐太、土居一生

数奇な運命が導いた5人の出会い

*編集部 みなさんがART&DIRECTION HAIR&MAKE UP COURSEに入ったきっかけを教えてください。

増田 仕事は充実していたものの「このままでいいのか?」という気持ちがいつもどこかにありました。35歳になったタイミングで、もう一度夢を持ってチャレンジしたいなと。それで、ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP COURSEができると知り、そこで学びたいと思いました。

土居 僕の周りにいるSABFA卒業生たちはみんな格段に技術力、表現力を高めていたんです。それで、自分もSALON MAKEUP COURSEに通おうと思っていたんですよ。ところがコロナで中止になりまして。原宿に移転するタイミングでART&DIRECTION HAIR&MAKE UP COURSEができたので入りました。コロナがなかったら、きっとこのメンバーと出会っていないですね。

西村 僕はサロンワークが主体で、コロナ前はヘアセットの講師としてセミナーもしていました。技術には自信があったものの、それを使って表現する力がほしかったんです。SABFAの卒業生に、竹野内宏明さんという、数々のヘアコンテストで実績を出している方がいるのですが、彼から「SABFAはこれまで積み重ねてきたものを作品に落とし込むための、表現の引き出しを増やしてくれる」という言葉を聞いて、自分も学びたいと思いました。

佐藤 僕はずっとSABFAに興味があったものの、「働きながら通うのは難しいかな」と思っていて。原宿に移転したタイミングで働きながら 学べるコースが増えたので、ヘアメイクとしてもっと上を目指すために入学しました。

大林 アシスタント時代からクリエイションに取り組んできましたが、自分だけのやり方や感性で続けても成長しないんじゃないかなと思いまして。計良先生が校長になるタイミングで、ART&DIRECTION HAIR&MAKE UP COURSEができて、すごく面白そうだと思ったので入学しました。業界一流のプロフェッショナルから学べるという点にも惹かれましたね。

増田祐太

多彩な個性がSABFAで化学反応を起こす

*編集部 期待を抱いて入学したSABFAでの「1番の学び」をあげるとしたらなんですか?

佐藤 徹底的に掘り下げて考えてつくる授業が多かったので、「掘り下げる習慣」ができました。普段の仕事でもしっかり掘り下げるようになったので、生み出すものの質が変わったと思います。

土居 それは僕も思う。「表現することに正解はない」と計良校長もおっしゃっていたけれど、サロンワークも同じ。正解がないから、お客さまとコミュニケーションをとって、本当の声を引き出したり、提案したりすることを強く意識するようになりました。

西村 これは個人的に強く感じていることなんですけど、美容師になって最初にSABFAで学んでおけば、また人生が違っていたのかなと。なぜかというと、表現の考え方や、それを実現する技術を身につけることによって、美をつくるものとして一番楽しい経験をさせてくれるから。それが最初にあれば、美容師やヘアメイクとして長く、楽しく働けるんじゃないかなと思いました。

増田 僕も同意見で、SABFAは僕たちが目的地に辿り着くために、大きな地図を渡してくれるようなイメージです。

大林 僕は色々なセミナーに参加したことで美容師さんとの交流はしてきましたが、SABFAには佐藤さんのようなヘアメイク主体で頑張っている人もいます。年齢や経験値も本当にバラバラですし、そういうさまざまなバックグラウンドを持つ人たちから吸収できるところもいいですよね。

増田 SABFAは先生も学生も多様ですし、生み出すものもみんな違うんですよ。美は一つではなく、多種多様で、奥深いものなんだなって思いました。

土居一生

「せっかくSABFAで学んだから撮影を続けよう」

*編集部 そんなART & DIRECTION HAIR & MAKE UP 1期生のメンバーで「SAD1」というクリエイティブチームをつくったのはどうしてですか?

土居 初めは僕と増田くんと佐藤さんで、「せっかくSABFAに行ったんだし、撮影することを止めないようにしようよ」と話していたんです。そこから、「男性の同期5人でチームつくったら面白いよね」となり、西村くん大林くんも加わりました。

「5人でやるんだったら、同じテーマ、同じモデルさんで連作したら面白いんじゃないか」ということで、みんなでテーマを決めて作品をつくって、仲間にも声掛けをしてメディアにも出してもらったりして。テーマは「東京」とか「Time」とか自分たちで決めています。

*編集部 どうやってテーマを決めるんですか?

佐藤 「次の撮影何やりますかー?」って。お酒片手にオンラインミーティングがダラダラと3時間くらい(笑)。あれは本当に話がまとまらなくて終わらないんですよ。みんな営業後に集まるから開始も遅いですし。

2カ月に1回のペースで、みんなで時間と場所を決めて集まって撮影しているのですが、やっぱり楽しいですよ。Instagramで他人の作品を見ることもありますけど、どうやってつくっているかまではわからないですよね。制作過程を間近で見られるのもいいですよね。

土居 そう。「え!それってそうやって作るんだ!」という驚きが毎回あるよね。

大林敬幸

5人それぞれの作風の違いも面白い

増田 それぞれ作品の色もありますよね。

大林 佐藤さんは僕らにはない柔らかい毛の動きをつくり出すし、しかもサラッとオシャレにまとめている印象があります。西村さんは、シンメトリーなものなど、正統派なデザインが好きな人という印象でしたが、SABFAで学んでからはすごくナチュラルで遊びもある表現をされていると思いました。

増田さんは、新しいクリエイションを生み出したいという気持ちが一番強い人なんじゃないかな。土居さんは、このメンバーの中でも一番撮影経験が豊富だし、4人の誰がみてもかっこいいバランスに仕上げてくるから、「絶対に外さない」というイメージがありますね。

増田 僕は大林さんの技術と発想力がすごすぎると思っていて。

土居 エッジが効いているなって思う。

増田 確かに。

佐藤 盛る感じではなく、削ぎ落とす感じね。

土居 何かを足す感じではないよね。大きくつくって小さくしていく。

佐藤 土居さんが「絶対に外さない」というのもわかるんだよなぁ。本当に毎回、キレイなんですよ。やっぱり自分にない視点を間近で見られるのがSAD1のいいところですよね。

西村紘

チームでやるから楽しく続けられる

*編集部 チームでやることによるメリットもきっとありますよね。

増田 一人でやっていたら続けられなかったと思います。

土居 そう、時間もお金もかかるしね。

佐藤 5人でやっているから続けられているのは確かにあるね。

大林 SAD1の良さは、自分がつくりたいものを全力でつくれるところ。例えば、ヘアコンテストやメディア向けのクリエイティブの場合、審査員や編集者に気に入られる作品をつくろうという思考になりがちだけど、SAD1では自分を出し切れるんです。

西村 個人的には、SAD1は落ち着く居場所、みたいな感じなんですよ。SAD1がない生活は考えられないというか。

*編集部 5人で意見が割れて、方向性が定まらなくなることなどありませんか?

佐藤 さっきもお話ししましたけど、定まらないからオンラインミーティングが3時間とかになっちゃうんです(笑)。

増田 テーマもそうだし、モデルさんやフォトグラファーさんを決めるときもそうですよね。もしかしたら、意見を飲み込んでいるメンバーもいるかもしれない。でも最終的にはチームとして同じ方向を見ている感じですよね。

佐藤敦俊

同じ場所で学んだから共通言語で話せる

*編集部 同じSABFAで学んでいるからこそ分かり合える点もありますか。

増田 共通言語で話せることが大きいんじゃないですか? この5人がSABFAを出ていなかったとしたら、ここまでまとまってなかったと思います。

佐藤 確かにね。一つのテーマでつくることがそもそもできなかったかもしれない。

土居 例えば「ツヤ」って言っても、いろんな「ツヤ」があるじゃん。「どのツヤですか」って話せるのはすごくありがたいよね。

*編集部 同じ土俵で話ができるということですね。チームワーク抜群のSAD1で今後やりたいことは?

土居 大林さんが ASIA BEAUTY EXPO 2022のステージに立つんですけど、それをいつか5人でやれたらいいよねっていう話をしました。多分、サロン単位で出ることはあっても、僕らみたいなサロンの枠組みをこえたユニットで出たことってないと思うんですよ。この5人でステージに立つことが目標ですね。

SABFAを起点に新しい人生が始まる

*部 最後に、これからSABFAでクリエイティブを学びたいと考えている人に向けてメッセージをお願いします!

大林 無料のセミナーや1回数千円のセミナーなどがいっぱいありますけれど、ほとんど1回教えておしまいです。SABFAは先生が間近で生徒を見ながら、デザインやディレクションの考え方を教えてくれるし、質問にも答えてくれます。しかも、お手本のレベルが高いから、「もっと高いレベルで考えなくてはいけないんだ」と視座が上がるんです。

土居 人との出会いも大きいですよ。視野が広がります。

佐藤 先生との出会いもそうだし、頑張っている美容師さんにも出会えました。

土居 新しいことを学ぶときってお金もかかるし、時間も必要じゃないですか。だからなかなか踏み出せない人も多いと思うけど、僕らはそれを乗り越えたからレベルアップできたし、今の活動があると思っています。

増田 僕は上手くなるためには、お金と時間を使うしかないと思っているし、使えない人はそこまでの人だと思うんですよね。みんな入ってよかったと思っているからSAD1っていう名前になっているわけですし…そもそもこの活動は土居さんが「この活動を俺らが止めちゃダメだよね」と言ったことが始まりなんですよね。「卒業後に結果を出すことが、SABFAに対する恩返しだよね。自分たちで結果を出せるといいね」と言っていて、僕らも共鳴したんです。

佐藤 そう。土居さんがすごく良いこと言っていたんです。

土居 増田くん、あとでお小遣いあげるね(笑)。

佐藤 そういえば、土居さんはいつも言うんですよね!俺サブファの大ファンだから俺は”サブファ―”ってね(笑)

土居 そうだよ、俺”サブファ―”だから(笑笑)

西村 個人的には、美容師になってすぐSABFAに入ったほうが良いと伝えたいです。僕は卒業式で「ようやくスタートラインに立てた」と話したんですが、本気でそう思っています。最初にここで美容を学べば、その後の美容人生が変わります。長く活躍するための土台になる学びがあるからです。ぜひSABFAで、クリエイションの楽しさを味わってください。

土居一生 Instagram 外部リンクアイコン 佐藤敦俊 Instagram 外部リンクアイコン 西村紘 HAIRサロン TAYA 外部リンクアイコン 増田祐太 YouTube 外部リンクアイコン 大林敬幸 Instagram 外部リンクアイコン
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