SABFA magazine

技術

2022.6.20

♯4 なぜメイクアップを学ぶことがサロンワークに活きるのか? Vol.3― SHEA.代表 坂狩トモタカさん

【坂狩トモタカ】
福岡県出身。資生堂美容技術専門学校卒。都内1店舗を経てAnZieへ入社。AnZieで代表を務めたのち2018年にSHEA.をオープン。年間50本以上のセミナーをこなすことで業界から注目を集め、一般紙や業界からのオファーも絶えない。著書に『#毛先だけパーマ』(エイ出版社)など。SABFA特別講義の講師も務める。

一般誌や業界誌・ヘアショー・TVへの登場、年間約50本の国内外セミナー講師を務めるなど多方面で活躍し、ヘアコンテストでの受賞歴も持つ坂狩トモタカさん。その活動の原点とも言える学びが、SABFAにあったのだそうです。坂狩さんがヘアメイクアップを学んだ理由と、学びをどのように活かしているのか聞きました。

「売れるための努力」に区切りをつけてSABFAへ

20代の頃、美容師は売れないと評価されないと思っていたので、「安定して月200万円売れるためにどうしたらいいか」とか、そんなことばかり考えていました。本当は好きじゃないのに女性のファッション誌を読んで、ヘアデザインを売れそうなものに寄せしたりして。

売れるための自分をつくり上げて、目標は叶えられたんですが、もやっとした気持ちがありました。美容師はエンドユーザーが求めるものに応える仕事だから、昔の僕のような心境に陥っている人、多いんじゃないかなと思います。

僕が本当にやりたかったのは、クリエイティビティを発揮してヘアデザインをつくることでした。当時の僕は27歳。「20代のうちに、新しい美容のエッセンスを入れておきたい」と思っていました。

SABFAに行きたいと思ったのは、僕が資生堂美容専門学校卒業生で、SABFAそのものに対して憧れがあったからです。それこそ専門学校時代に資生堂トップヘアメイクアップアップアーティスト原田忠さんの特別授業を受けて、かっこいいなと思ったんですよね。

当時のSABFAのサロンメイクアップコースは倍率がかなり高かったのですが、一発で入学することができ、そこで半年間学びました。その半年間のことは今も鮮明に覚えています。仕事も忙しかったから休日はゼロ。体重は58kgから51kgまで減りました。魂まで削られていましたね。

業界誌に「SABFAに通っている」と話しただけで、取材の打診を受けた

忘れられないエピソードがあります。SABFAに通っていることを美容業界誌の方に話すと、「ぜひ学んでいるところを取材させてほしい」ということになり、何も考えずOKしてしまったんですよね。僕としては学校の宣伝になったら嬉しいなと思ったんですが…。でも、今振り返ると、取材の人がきたら、他の学生の迷惑になりますし、先生に叱られて当然ですよね(笑)。

同級生には、山口県や鹿児島県など遠方から通っている人がいました。半年間、東京でバイトをしながら通っている人もいたんですよ。自転車で通っていた自分は随分恵まれているなと思いました。しかも、東京にはメディアもたくさんあるから発信しやすい。「SABFAに通っているんですよ」と言ったら、取り上げられやすくなったりするんですよね。

でも、SABFA出身者で僕よりメイクアップが上手い人は地方にもたくさんいるし、コンテスト受賞者もいるわけです。みんなもっと発信したらいいと思う。せっかく素晴らしい技術を持っているんだから。先日、特別授業の講師として招かれたときも、学生のみなさんに同じ話をしたんですけれど。

僕が学んだあの半年間、先生たちにしっかり向き合ってもらい、メイクアップの基礎を叩き込んでもらいました。感謝の気持ちがあるし、卒業生であることをどんどん打ち出して、母校に貢献していきたい。そのためにはSABFA出身だと言わなきゃ伝わらないので、みんなもっと武器にして前面に出していけばいいのに、と思っています。

クリエイティブコンテストでグランプリを受賞しイタリアへ

半年間の学びで僕が何を得たかと問われたら、表現の引き出しが増え、女性像をつくるためのディレクションができるようになったことですね。SABFA卒業後に、クリエイティブコンテストでグランプリをいただき、イタリアに招待されたことがあります。

グランプリを獲得した作品は、海外モデルさんの素材を生かしたもので、ヘアムースで髪の質感をつくって、メイクアップも軽くナチュラルに、ベビーオイルをさっと塗るくらいのものでした。もともと美しいモデルさんだったから、下手につくり込むのではなく、女性として最も輝くためのディレクションをしたんですよね。

あらためて振り返ると、僕がグランプリを受賞できたのは、SABFAでメイクアップを学んだからです。だって僕はメイクアップができなかったし、スキンケアって何?って感じで、化粧水と乳液をつける順番すら怪しかったですから。SABFAで学んだ知識と技術があるから、ディレクションができるんですよね。

スタッフ教育にもSABFAのエッセンスが反映されている

サロンワークの質も変わりました。本来、サロンワークは技術やデザインでお客さまに提案する場所だと思っています。今は韓国風のヘアが流行っているから、それをお客さまに当てはめるとか、そういうものじゃないんですよ。

僕が思うに、ヘアサロンは、カットやカラーなどのメニューを売る場所ではなく、お客さまと対話しながら、女性像をつくっていく場所です。そのためには、メイクアップのスキルと知識も必要。だからサロンの教育カリキュラムの中身にもどこかしらにSABFAの美容のベースとなるエッセンスが反映されています。

例えば、SHEA.のスタッフには、メイクアップを積極的に学ぶようにアドバイスしています。女性は普段から自分でメイクアップをしているし、好きでやっているから上手いですよね。一方で、男性は普段やらないから僕が撮影に連れて行くなどして、見て学ぶように促しています。メイクアップができるのとできないのとは全然違うし、やらないと話にならないので興味持ってどんどんやってほしいです。

サロンに「メイクアップメニュー」をつくるか検討もしています。売上的に大きくないから手がけにくい領域ですが、やり方によっては、お客さまに対する価値を出していけるはずなんですよね。

SHEA.の3店舗目は、メイクアップメニューを提案する店にしたい

2022年6月に学芸大学駅にSHEA.の3店舗目を立ち上げました。そこでメイクアップメニューにもチャレンジしたいなと。新店ではアイブロウのフランチャイズ店も併設します。研修を受けてスタッフにも技術を習得してもらう予定です。アイブロウは月1回ペースで通うものですから、そのタイミングでメイクアップの提案をしたいと考えています。メイクアップの提案をすることで、お客さまに合った女性像をつくるという意味でも、より選択肢が増えます。生産性のことを考えたら、カットやカラーのほうが高いですが、僕たちが目指すのはそこじゃないんですよ。

新店でメイクアップの可能性を追求することが当面の目標ですが、経営者としては10年やり遂げたら後進にサロン経営を任せたいと思っています。もともと僕は10年単位で人生の大目標を立ててきたので、また次のステージにチャレンジしたいなと。

それこそSABFAの出身だから、デザイナーとしてクリエイションしていきたい。せっかく、人というキャンパスでデザインできる世界で活かしてもらっているのだから、震えるような作品をつくってみたい。それが母校への恩返しにもなると思っています。

2022年6月オープン 学芸大学店

2022年6月オープン 学芸大学店

2022年6月オープン 学芸大学店

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